移動する可能性のある物体(移動物体)をマップ作成時にスキャンした際、実際の運用時にそれらの荷物が移動されていると、自己位置ロストが発生しやすくなります。また、座標ズレが起こりやすくなり、位置決め精度が下がります。自己位置ロスト時、以下のエラーが発生する場合があります。

  • エラーコード: 110
  • エラー内容: Path not found(経路が見つからない)

自己位置ロストが発生した場合、マップ上の AMR の場所と、実際の位置(座標 x, y)や方向(回転方向θ)が実際と異なる状態になります。

 

自己位置を見失いやすい場合の対策

マップ作成時または作成後について

マップの作成時、以下のような移動物体を、できる限り配置しないでください。もしくは、移動物体が壁など動かないものから離れている場合(隣接していない場合)は、マップ作成後、「マップ修正」機能にて、移動物体を後から消去することができます。

消去した場合、自己位置の参照としては使用されなくなりますが、実際に物体がある場合は、センサーで検知して回避または停止することができます。

  • 台車
  • 移動棚
  • パレット

現状のマップが実際のレイアウト(物体の配置)と異なっている場合、マップの再作成を行って下さい。

また、ロストしやすい場所に、LiDARが検知できる高さに形状を置いてからマップを作成すると、自己位置を見失いやすい現象が改善する可能性があります。固定された参照物が多いほど、自己位置を保持しやすくなります。

例えば、アルミフレームなどで製作したコンベヤの近く等は、アルミフレームの足しか参照物がない場合がありますが、LiDARが検知できる高さにスチレンボードなどを固定することで、自己位置の安定化、位置決め精度の向上が見込めます。簡易的なテストでは、テープを貼ることでも確認できます。

 

ライントレースと現在位置設定の使用

自動運転時、どうしても自己位置を見失う場合、ロストしやすい領域を通過する際に、「ライントレース」と「現在位置設定」のタスクを併用することで解決できる場合があります。(ファームウェア バージョン 1.11 test 20 以降)

ライントレースの停止条件を、「交差点で停止」とし、直後のタスクで「現在位置設定」を行うことで、座標が一時的にズレていても、修正することができます。

 

パラメータの確認

[管理ツール] > [マシン管理] のページの下部、[高度な設定] の 自己位置測位のパラメータを確認して下さい。

厳密性 Min (旧呼称 Cauchy Min)の値が 0.01 になっている場合、0.15 にして確認してみてください。座標ズレの場合の補正力が向上します。基本的には、以下のパラメータを推奨します。

  • 厳密性 Max: 0.5
  • 厳密性 Min: 0.15